人口:721万4431人。チュルク系。
居住地域:主に新疆ウイグル自治区に分布し、天山以南の各オアシスに住む人が多いが、湖南省桃源県、常徳県などにも住んでいる。
言語:アルタイ語系突厥語派に属するウイグル語を使っている。
中心、和田、羅布の3種の方言がある。
アラビア文字を表音文字として使っている。
歴史:ウイグル族は中国北西部での長い歴史をもつ民族の一つ。
ウイグルとは、団結、連合の意味がある。
その祖先は紀元前3世紀に中国北部一帯に住んでいた遊牧民族のディンリィンおよびその後のティエロに遡ることができる。
ティエロは西チュルクハン国の一部であり、7世紀に回コ汗国を打ち建て、唐朝と友好をむねとした従属関係を結んだ。
回コは後に回鶻と改称され、9世紀に新疆に移住して地元の各民族の住民と融合し、次第にウイグル族に発展した。
またイスラム化の完了後、遅くとも16?17世紀には、チュルク丞言語を話し、イスラム教を信仰する、言語、文化、宗教などの面で共通する特徴を持つ人々 の社会が、現在のウイグル族に直接つながるような形で、東はコムルから西はカシュガルに至るまでのオアシス地域で成立していたと推定される。
しかし、16?17世紀にウイグルという語が、彼らの自称として使用された形跡はない。
ウイグルという民族区分と民族呼称は、1930年代に当時の中華民国の新彊省政府によって採用された。
ウイグル族は、タクラマカン砂漠の周縁に点在するオアシス地域に居住しており、おもにオアシスでの灌概農業に従事してきたため、現在でも主に農業に従事し、綿花、ブドウの栽培や園芸に長じている。
トゥルファン盆地では、掘り抜き井戸をつらねたカレーズと呼ばれる地下水路が発達し、灌概に利用されている。
都市部では手工業や商売を営む人々が見られ、とくにカシュガル市には、手工業の集中地区が現在でも残存しており、金物、道具、ドッパと呼ばれる帽子、サンドゥクという箱などをつくる伝統工芸が発達している。
全民族的にスンニー派のイスラム教を信仰しており、とくに南部新彊では日常生活の指針となり、モスクへの礼拝が励行され、イスラム教の2大祭り:ローザ節(イード・ル・フィドル)とクルバン節(イード・ル・アドハー)も盛大に挙行されている。
ローザ節は日本の正月行事にあたるもので、イスラム暦9月のラマダーンと呼ばれる1ヶ月間の断食月(この期間日中の食事が禁止される)が終了し、昼間の食事が再開されるイスラム暦10月1日に行われる。当日は断食月が終了したことを祝い、モスクに行き礼拝したあと自宅で祝宴が催される。
ラマダーンはイスラム歴第9月のことで、コーランでこの月は毎日断食(サウム)をしなければならない、と定められている。
断食をする時間は、夜明け前(太陽の昇る約二時間前)から日没までの間で、この時間内には、飲食や喫煙、および口に入れたものを噛んだり、のみ込んだり、口や鼻から薬を体内に入れることも断食を破ることになる。
陽が沈むとすぐに、軽い食事をとって、その日の断食を終了することになっており、夜の明けないうちに、もう一度、食事をする。
クルバン節は、イスラム歴12月10日に行われる祭りで、神に感謝し、歌と踊りをともなう祝いを盛大に催す。
イスラム歴 |
地球をまわる月の軌道の周期をもとにしており、聖預言者ムハンマドの、メッカからメディナへのヒジュラ(聖遷)の年をその紀元元年として作られたもの。
イスラム歴の12ヶ月は次の通り。 なお、1日の変わりめは、夜中の12時ではなく、夕方の日没時とされている。 |
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