人口:約20000人
居住地域:四川省平武、九寨溝、甘粛省文県などの海抜2000~3000メートルの峡谷地帯
言語:チベット・ビルマ語系のチベット語群とチャン語群の中間的な要素をもつ白馬語を話す
歴史:祖先は氐人とされており、漢代には白馬氐と呼ばれていた。
唐代初期にソンツェン・ガンポが吐蕃を設立し、現在の甘粛省東南部ー四川省西北部一帯まで領土を広げた時に、白馬氐は次第にチベット族に吸収され、1950年代の民族識別でチベット族とされた。
山腹に共同で焼畑を開いてソバや麦等を栽培し、ヤクやヤギなどの飼育、養蜂業や漢方薬材採取を主な現金収入源としていた。
90年代以降、西部大開発と観光熱が湧き上がり、経済は大きく変革した。観光業と運輸業が盛んになり、伝統的な農業や牧畜業に専従する者はほとんど居なくなった。
2本の白い鶏の羽つきのフェルト帽と色鮮やかな民族衣装を日常的に身につけている。女性は、髪を後ろで一つに編んでいる。
万物に霊を認める原始宗教を信仰している。山神、水神、火神、天神、地神などである。
最高神は山神で「白馬爺さん」と呼ばれている。各村の総合神であり、更に各村は独自の山神を持っている。彼らの多くはチベット仏教を信仰していない。
火神は各家の囲炉裏に居る。囲炉裏は大変神聖な場所である。囲炉裏の左には男が座り、右には女が座った。賓客は左右の最上席に座った。
祖先を崇拝するが、位牌は無く、囲炉裏の正面奥に神木を焚き、香を燃やす。
毎年春節には“曹盖”踊りの儀式を行う。これは最も重要な儀式であったが、最近は一種の民間舞踏であり、観光用の舞踏に変わってきている。
※2012年に上海復旦大学現代人類学教育部が発表した研究結果によると、白馬人のDNAに東アジア最古の民族である可能性が発見されたという。これはチベット族とは異なっており、氐羌から繋がっているものだという。
三星堆の番組で、ここの曹盖の面についての言い伝えが発掘された独特な仮面の起源ではないかという紹介がされてました